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行動を変え(させ)る前に、今どの段階かを理解する
――人間関係を大切に、築いていくということ
「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」
ということわざがあります。
馬の良し悪しは、
遠くから見たり、噂を聞いたりするだけでは分からず、
実際に乗ってみて初めて分かる。
同じように、
人の人柄も、
話してみて、関わってみて、時間を共にしてみて、
初めて見えてくるものがある――
そんな意味のことわざかと思います。
人は、思っている以上に「分からない存在」
私たちは日常の中で、
つい相手を「第一印象」や「一場面」だけで判断してしまいがちです。
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そっけない人
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不器用な人
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意見が合わない人
でも、少し距離を縮めてみると、
その背景にある事情や、
その人なりの一生懸命さが見えてくることがあります。
ことわざが教えてくれるのは、
「分かったつもりにならないこと」
なのかもしれません。
人間関係は「評価」ではなく「関わり」
人との関係は、
点数をつけたり、良し悪しを決めたりするものではありません。
大切なのは、
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どう関わるか
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どう声をかけるか
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どう受け止めるか
相手を変えようとする前に、
まず自分の関わり方を少しだけ丁寧にしてみる。
それだけで、関係性は静かに変わり始めます。
行動は「一気に変わらない」
ここで、もう一つ大切な視点があります。
それは、
人の行動は、思ったからといってすぐに変わるものではない
ということです。
多くの場合、人は
迷ったり
戻ったり
立ち止まったり
しながら、少しずつ前に進みます。
この「変わっていく途中」を説明したのが
行動変容ステージモデルです。
① 無関心期
「特に困っていない」段階
本人は、変える必要を感じていません。
この時期に正論やアドバイスをすると、
反発が起きやすくなります。
大切なのは「変えようとしないこと」
まずは、知る・聴く。
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「普段はどんな感じで過ごしていますか?」
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「今の生活で、困っていることはありますか?」
👉 ここでも「添う」姿勢が大切です。
② 関心期
「変えたほうがいいかも」と思い始める段階
気にはなっているけれど、
不安や面倒さ、迷いが大きい時期です。
解決しなくていい。気持ちを言葉にしてもらう
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「少し気になっている点はありますか?」
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「不安なところがあるとしたら、どこですか?」
👉 判断せずに聴くことが、関係を深めます。
③ 準備期
「やってみようかな」と考え始める段階
情報を集め、考えを整理し始めています。
決めるのは本人。考えを整理する手伝いをする
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「何からならできそうですか?」
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「続けるために、助けになりそうなものはありますか?」
④ 実行期
実際に行動している段階
まだ不安定で、失敗しやすい時期です。
責めない・評価しない
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「やってみて、どうでしたか?」
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「少し大変だったところは?」
👉 続けやすさを一緒に考えます。
⑤ 維持期
行動が習慣になりつつある段階
ただし、戻ることもあります。
続いている理由を大切にする
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「続けられている理由は何だと思いますか?」
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「これがあると調子がいいと感じますか?」
「人には添うてみよ」が教えてくれること
行動変容ステージモデルを見ていると、
このことわざの意味が、
より深く感じられます。
人は、
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すぐには変わらない
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行きつ戻りつしながら進む
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その途中に、関わりが必要
だからこそ、
急がせず、評価せず、
その人の今の段階に添って関わることが、
人間関係を大切に築いていくことにつながるのだと思います。
「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」
それは、
相手を理解しようとする姿勢であり、
人の変化を信じて待つ姿勢でもあります。
今日、誰かに対して
「まだ途中なんだな」と思って
少し丁寧に関わってみる。
その小さな関わりが、
人と人との関係を、静かに育てていくのかもしれません。
